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レタスに入眠・鎮静作用があるって本当?古代より信じられてきたレタスの効能

 夜になってもなかなか気温が下がらず寝苦しい日が続いています。安眠を得るために、ハーブティーや音楽、アロマキャンドルを活用するなど、工夫をしている方もいることでしょう。ところで、身近な食材のレタスにも、入眠効果があるという話を聞いたことがあるでしょうか?

 

 レタスの学名は「lactuca」(ラクトゥカ)、和名は「チシャ」です。“lac”(ラク)とはミルクを意味するラテン語で、チシャも、「乳草(ちちくさ)」がなまって、そう呼ばれるようになったと言われています。いずれも、レタスの茎を切ったときに、白い液体が出てくることから付けられた名称です。

 レタスの起源は、地中海沿岸から中近東にかけての地域と言われ、紀元前6世紀頃には、古代ペルシャの国王が葉のレタスを食していました。古代のギリシャ、ローマでも同様に、球状でないレタスが栽培されていたそうです。ことに、野生種の一つ、ラクトゥカ・ウィローサの乳液を乾燥させたものには、催眠作用や鎮痛作用があり、古代から薬用植物として重宝されていました。中世に入ると、レタスはヨーロッパを中心に栽培されるようになります。日本にも平安時代に薬草として伝わりました。

 

 16世紀には、今日のような球状のタマレタスも作られるようになり、アメリカ大陸にも渡って改良が進められていきました。レタス類の鎮静効果は古代より信じられていて、アメリカやヨーロッパでは、レタスの乳液や葉を乾燥させたものが、薬として作られていたと言います。そう言えば、イギリスのポターが書いた絵本、『ピータラビット』の中にも、子ウサギたちがレタスを食べすぎて眠り込んでしまうというお話がありましたね。

 

 20世紀に入って研究が進むと、レタスの催眠・鎮静作用は、乳液の成分である「ラクチュコピクリン」によるものだということが明らかになります。今日では、レタスを煎じた汁が睡眠障害や神経性の病気に用いられているそうです。

 

 レタスは95%が水分で、栄養価が高いとは言えませんが、生食が多いため、カロテン、ビタミンB1、B2、C、Eなどのビタミン類を損失なく取ることができます。また、葉酸、カルシウム、リン、鉄、カリウム、食物繊維などの栄養素が含まれ、抗酸化作用貧血予防、動脈硬化予防などが期待できます。しかも、低カロリーですからダイエット中の強い味方にも。

 

 タマレタスのほか、レタスにはさまざまなタイプがあります。お馴染みのサニーレタス、リーフレタスのほか、茎を食べるチシャトウ、白菜に似たタチレタスなど、豊富に種類があり、サンチュサラダ菜もレタスの仲間です。栄養価を期待するなら、サニーレタスやリーフレタス、サラダ菜などの緑黄色野菜を食卓に。これらはカロテンやビタミンE、Kを多く含み、他のビタミンやミネラルの摂取量も格段にアップします。それぞれの特徴に合った美味しい食べ方もあるので、味噌汁やスープ、炒め物など、調理法を工夫してみてはいかがでしょうか。

 

 なお、レタスに催眠・鎮静作用がある成分が含まれていることは明白ですが、大量に食べても不眠症や不安神経症が治るとは言えません。安眠をもたらしたり、ストレスを緩和してくれるレタスを他の食品とともにバランス良く取ることで、穏やかな気持ちになれたり、入眠がスムーズになるのでしょう。

参考文献/『そだてて あそぼう[62]レタスの絵本』(農山漁村文化協会)、『食品成分表 五訂』(女子栄養大学出版)

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