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世界中で栽培されてきた大根 ~ 薬効のある野菜を美味しくいただく 〜

春の七草の一つ、「すずしろ」として知られる大根は、日本で最も食べられている野菜です。おでん、ふろふき大根、ブリ大根、切り干し大根、味噌汁の具のほか、漬け物やサラダなど、生でも美味しくいただけますよね。

大根は国内のみならず、世界中で古くから作られており、その原産地は地中海沿岸から中央アジアだと言われています。紀元前2700〜2200年のエジプトでは貴重な栄養源として栽培され、その後、古代ギリシアやローマに伝わり、15〜16世紀にヨーロッパ各地へ伝わっていきました。日本には8世紀頃、中央アジアからシルクロードを通り、中国を経由して入ります。その過程で、各々の地域の風土に合った形、性質に変化していき、渡来後は、日本各地の気候や土壌に適した大根が100品種以上生まれました。

 

現在では、根の上部が緑色の青首大根と、根の全面が白い白首大根(練馬大根、三浦大根、みの早生大根)の2品種が主流になっています。出荷される季節によって、春大根(4〜6月)、夏大根(7〜9月)、秋冬大根(10〜3月)に分けられ、一年中食卓に上りますが、涼しい生育環境を好むため、旬は秋から冬になります。

 一方、地中海沿岸をルーツとして広がった、ヨーロッパやロシア、北アメリカの大根は、ラディシュ(二十日大根)が最も多く栽培されているほか、白首や青首、赤、紫、黒、茶、黄褐色など多様な根の色の西洋大根があり、丸形や小型であるのが特徴です。

 

 洋の東西を問わず、大根が世界各地で栽培され続けているのは、古くから栄養や薬効があることが知られていたからです。

 大根の根や葉には食物繊維が多く、胃腸の働きを整えたり、大腸ガンや老化を防ぎます。根にはさまざまな酵素が含まれ、特に、デンプンやグリコーゲンを分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)が多く、ご飯や餅などの糖質の消化を助けたり、胸やけ、胃もたれ、胃酸過多、二日酔い防止に有効。また、焼き魚の焦げの部分にある有害物質を分解する働きも。葉には、根よりもビタミンC、B1、B2、カルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄などが豊富で、根にはないカロテンも非常に多く含みます。

 

焼き魚や天ぷらに大根おろしを添えたり、刺身の“つま”とする目的は、胃もたれ防止や毒消しになるからです。また、生で大根を食べるとビタミンCを効果的に摂取できますし、切り干し大根のように、天日干しにすると栄養価が格段にアップします。ほかにも、さいの目に切った大根をハチミツや水あめに漬け込み、1~2日後に大根を取り除けば、のどの炎症や咳止めに効く大根のど飴ができますし、葉の汁は虫さされや切り傷に、干した葉をお風呂に入れると冷え性や神経傷に効くとも言われています。

 

 最後に、良質な大根の選び方をご紹介しましょう。まず、太くて重く、白く、はりがあるものを選ぶこと。また、ひげ根の穴(くぼみ)が小さく等間隔に並び、根の先に毛穴が少ないもの、左右同じ位置から葉が生えているものは順調に生育し、養分が均等に行き渡っています。形はまっすぐなものが辛すぎず、季節では春・夏大根より冬大根のほうが甘味があります。ぜひ美味しい大根を選んで、栄養を丸ごといただきたいですね。

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