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最高級の毛織物・カシミヤ 〜カシミヤの特徴と誕生の歴史〜

冬になると、大活躍するカシミヤのマフラーやセーター、コート……。暖かくふわっとしたやさしい風合いに、何とも言えないぜいたくな気分を味わえますよね。

 

 カシミヤは羊毛などの他の動物に比べて繊維が細かく、繊維の表面を覆うウロコ状のキューティクルが薄く、キューティクル同士の間隔が広いのが特徴です。そのため、感触が繊細で非常に柔らかく、快適な湿度を保っています。天然の油脂分が繊維表面を覆っていることも肌にやさしい理由の一つ。また、繊維が細かいということは、より多くの繊維で束ねられた織り糸ができるということですから、その糸で作られた毛織物は、空気をたくさん含み、外気を遮断して放熱を抑えるという保温の役目も果たします。

 カシミヤは現在、繊維を表す言葉として使われていますが、語源はインド北西部のカシミール地方の特産品、山羊の毛から作られたカシミヤ・ショールに由来します。カシミール地方は四季の寒暖の差が激しく、12〜3月は氷点下30℃以下になる寒冷地です。

 このような地域にすむ野生の山羊は、厳冬から身を守るために、長く粗い刺毛(しもう)の下にとても細かい柔毛(産毛)を生やし、春になると、不要になった産毛を岩や低木にすりつけて取るので、それを人手で採取してショールの素材としたと言います。一方で、家畜のカシミヤ山羊もおり、産毛が抜ける時期に櫛のようなもので梳き取って産毛だけを分離していました。ちなみに一頭のカシミヤ山羊から取れる産毛は150g〜250g。ショール1枚を作るためには10頭近く必要でした。

 

17世紀に入って、東インド会社を設立したイギリスが本国へ持ち帰った品物の中に、カシミールの毛織錦(けおりにしき)がありました。暖かくソフトで鮮やかな模様が織られたカシミヤ・ショールは、18世紀末のヨーロッパ王侯貴族の間で人気を博し、トルコ、ペルシャ、アフガニスタン、中央アジアなどへも輸出されます。19世紀のヨーロッパでは、高価なカシミヤ・ショールを模した商品がフランスやイギリスで量産され、アジアにも輸出されます。以降、カシミールのショール産業は衰退するのですが、カシミヤは防寒用下着、セーター、コート、マフラーなどに使われるようになっていきます。

 

 現在、カシミヤ山羊は、チベット、モンゴル、中国、イラン、イラク、ロシアなどの乾燥した寒冷山岳地帯で飼育され、世界のカシミヤ原料の6割強が中国で生産されているそうです。カシミヤは繊維が細く長く、繊維の表面がなだらかで美しいものほど上質とされますが、一般的に、厳しい環境で育った山羊ほど良質の産毛に恵まれると言われ、とりわけ、寒暖差の激しい内モンゴル自治区産のカシミヤが最高級品とされています。

 

 カシミヤはどの時代においても、つねに最高級の繊維として賞賛されてきました。大自然の贈り物からショールを紡ぎ出すことを発見したカシミールの人々は、今もなお、ラダック地方を中心に山羊の飼育を続け、人手による作業で細々とショールを紡ぎ続けていると言います。先日たちから大切に受け継がれてきた伝統的な特徴を持つ上質のカシミヤを、ぜひ、私たちもたっぷりと味わいたいですね。

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