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燃えない木材を作る夢と技術 ~新建材の開発で実現した火災に強い建造物〜

 

 日に日に寒さが増すこの季節、空気が乾燥してきたと感じませんか。空気が乾燥すると火災も発生しやすくなり、火も燃え広がりやすくなると言われています。天気予報でも乾燥注意報が発表され、火災の注意を呼びかけていますよね。

 火災は財産ばかりでなく、命を失う危険もある恐ろしい災難です。歴史に残る「明暦の江戸大火」(1657年)は、なんと80日間も雨が降らなかった乾燥下で発生したと言われ、避難民が持ち出した車長持(底に車が付いた収納家具)が着火したり、消火活動の妨げになって被害が拡大したとの記録もあります。以降、幕府は車長持の使用を禁止し、耐火建築の導入を検討し始めました。そして18世紀に入って土蔵や塗屋造りを普及させるのですが、この頃、燃えにくい桐材を使った箪笥も作られるようになったと言います。

 桐は熱伝導率が極めて低く着火点が高いので、表面が焦げても中まで火が回るまでに時間がかかります。また、他の木材に比べて吸水性にも優れ、消火の水を直に吸収するため、燃えづらいという特徴を持ちます。同時に木が膨張するので箪笥内部への浸水を防ぎ、中に納められた物を守ることができると言います。また、収縮率が少ないという桐の特性から、もともと箪笥内部は隙間のない状態で、外からの温度変化を受けにくいそうです。

このように優れた特徴を持つ桐は、箪笥以外にも、金庫の内部や美術工芸品の収納箱に使われるなど、今では高級品として扱われています。湿度が高く、季節による寒暖差が激しい日本の気候風土を考えると、桐文化が受け継がれてきた理由もうなずけますよね。

 

 一方、耐火建築については研究が重ねられ、今では火災に強い“燃えない木”が新しい建築木材として脚光を浴びています。燃えない木は、木材にホウ酸塩などを主原料とした不燃物質を浸透させることで作ることができます。

不燃物質を施した木材が火災にさらされると、溶解時に吸熱反応を起こすホウ酸塩の作用により、木材は熱を吸って周囲の温度を下げます。さらに高熱になると、木材の表面は燃えにくい黒鉛となり、内部からの酸素の供給をシャットアウト。こうした反応により、不燃木材は燃え尽きてしまうことがないのです。もちろん火災時に有毒ガスを発生しませんし、無色無臭なので木材の素材感を損なうこともありません。また、防虫効果もあるため需要は高く、すでに空港や駅の床や壁など様々な公共施設に使われています。

 

 さらに、2013年10月31日に、神奈川県横浜市の港北ニュータウンの中心部に国内初となる地上4階建ての耐火木造の大型施設、「サウスウッド」がデビューしました。従来、都心の防災地域に建てられる建造物は、火災に強い耐火建築物にしなければならず、木造の場合は周囲を石膏ボードなどの耐火被覆材で覆う必要があり、完成後は木が見えませんでした。しかし、サウスウッドはこれを可能にしたのです。大規模なコンクリートの骨組みの上に建てられた梁(はり)と柱には、新開発の木の集成材(複数の木材を貼り合わせた部材)が使われ、モルタルで熱を吸収しながら燃焼を食い止める構造にしたので、耐火被覆材を使わなくても、建築基準法が定める1時間の耐火性能を持つと言います。

 

 耐火木材の開発は今後も進んで行くと言われています。その背景には林業の問題があるのですが、国土の約70%を森林が占める日本で育った私たちは、純粋に、木の温もりを感じることで穏やかな気持ちになれるのではないでしょうか。そうした人々の思いが、日本の新たな技術開発によって叶えられていくことに、誇らしさとうれしさを感じますよね。

 
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