朝晩めっきり寒くなりましたね。夕食の献立は体が温まる鍋が良いと考える方も多いことでしょう。水炊き、すき焼き、キムチチゲ、カキの土手鍋……。どれも美味しそうですが、豆乳鍋はいかがでしょう。野菜もたくさん取れますし、大人から子供まで大人気です。
豆乳は、水に浸した大豆をすりつぶし、加熱後に漉(こ)した液体で、豆腐づくりの過程でできるものです。ちなみに、漉した後に残った繊維質が「おから」になります。
「畑の肉」と呼ばれる大豆は、アミノ酸バランスの良い良質のタンパク質に富み、必須脂肪酸(リノール酸、α-レノリン酸)、炭水化物、ビタミンB1・B2・E、レシチンなどの多くの栄養素が含まれており、豆乳はこれらの栄養素を豊富に含んでいます。
タンパク質は皮膚、内臓、筋肉、骨、血液などの細胞や組織をつくる主要な構成物質で、酵素、ホルモン、遺伝子、免疫抗体などの材料にもなります。大豆に含まれるタンパク質には、血圧の上昇を抑制し、血中コレステロールを下げる働きがあります。リノール酸、α-レノリン酸も血中の悪玉(LDL)コレステロールを下げ、α-レノリン酸は善玉(HDL)コレステロールを増やす働きをするので、動脈硬化の予防に効果があると言われています。
レシチンも、血管壁に付着した悪玉コレステロールを溶かして血流を良好にし、動脈効果を防ぐ働きがあります。また、脳細胞の活性化を促して記憶力を高め、脳の老化やボケ予防にも効果を発揮すると言われています。体内に取り込まれたレシチンが、構成成分の一つであるコリンとして腸内で分解・独立し、脳に運ばれて情報伝達物質のアセチルコリンを作るからです。そして、ビタミンB1は、脳神経を正常に働かせ、疲労回復に有効。ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持、肌荒れの予防に効果的です。ビタミンEには抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぐほか、血行を促進し、皮膚をつややかにする効果も。
その他の栄養成分としては、大豆サポニンや、大豆イソフラボンがあります。大豆サポニンは老化の原因となる活性酸素を抑制し、ガン細胞の増殖抑制作用、肥満防止などに関係します。一方、大豆イソフラボンは、体内で女性ホルモンのエストロゲンと同じような働きをします。カルシウムが骨から過剰に溶け出すのを防いで一定に保ったり、骨密度の低下を抑えるので、骨粗鬆症の予防や改善につながり、体の火照りや倦怠感など、更年期障害の諸症状の軽減にも有効との報告もあります。
豆乳は、美容面でも効果を発揮してくれます。大豆イソフラボンには、肌の弾力を保つコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促したり、角質の水分量を増やして肌の保湿力を強化させる作用があり、大豆に含まれる豊富なビタミン類が美肌を保ってくれるのです。さらに、大豆タンパク質にはグルタミン酸、アスパラギン酸が多く含まれているので、髪の乾燥・パサつきを押さえ、潤いを与える効果が期待できます。
年末にかけてのこの時期は、パーティーや忘年会などのイベントが増え、カロリーオーバーが気になる方もいるのでは? そんなときは、事前にコップ1杯分の豆乳を飲むと有効。大豆サポニンの働きで空腹感が押さえられるため、食べ過ぎを防いでくれるからです。
コレステロールを含まない、高タンパク・低カロリーの大豆製品は、減量中の方にもおすすめです。不足しがちなタンパク質を豆乳などから取れば、低カロリーで基礎代謝を活発にすることができますから、無理なダイエットで健康を損なう心配もないでしょう。豆乳なら気軽に摂取できますし、毎日続けて取ることで効果が期待できますよ。